【平成28年1月号】 |
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日本人なら知っておきたい「和食」
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和食は平成25年12月にユネスコ無形文化遺産に登録され、ヘルシーな食べ物として海外でも注目されています。
和食=日本の料理と捉えがちですが、この言葉には様々な意味や想い、歴史が詰まっています。
そこで今回は『和食とその特徴』に関するお話です。
◆和食とは
料理だけでなく、日本人が環境の中で生み出し、築き上げてきた食の知恵や工夫、慣習やそれを編み出した人々すべてを
「和食」と呼び、日本人の伝統的な食文化を総称する言葉と考えられています。
そして、和食は次の四つの要素で構成されています。
●食材
四季が明確で多雨・温帯の気候を生かして収穫される稲や野菜、山菜などの多彩な農作物と、黒潮親潮がぶつかる
豊かな海から恵まれる海産物が和食の重要な食材です。
●料理
水を豊富に使えることで発達した蒸す、茹でる、煮るなどの調理法や、包丁などの調理器具、野菜や魚介を
美味しく食べるために工夫された「だし」や「調味料」などが和食の料理を支えています。
●栄養
比較的エネルギーが低く、食材の数が多いため、各種の栄養素をバランスよく摂取しやすいです。
●おもてなし
お客様を大切に迎える心持ち、「いただきます・ごちそうさま」と感謝する心、箸づかいなどの食事マナーや
態度など、もてなす側と食べる側がお互いを思いやる、その心が和食の精神です。
◆和食の特徴①「一汁三菜」が和食の基本
「一汁三菜」とは、主食であるご飯に、「汁」一品と焼き物や煮物などの「菜」が三品添えられる献立です。
ご飯が主食で、その他はすべてご飯を食べるために添えられている点が特徴です。
昔は少ない菜で沢山のご飯を食べて、ご飯の量でエネルギーを調整するのが基本的な食べ方でした。
さらに、魚のアラ汁やけんちん汁のような具だくさんの汁も各地域で様々な種類があり、汁でご飯を
食べるということも和食の特徴です。
文明開化の時代から一般的に肉を食べ始めるようになり、菜として牛鍋(すき焼き)をはじめ、
肉じゃがや豚カツなどご飯に合う色々なメニューが取り入れられてきました。
ご飯を菜や汁で食べるという和食のスタイルが確立されていたからこそ、和食の基本形を残しながら、
その幅を広げていったと考えられます。
◆和食の特徴② 日本人の味 うま味
和食の味わいで最も重要なのが「だし(出汁)」の存在です。
だしのうま味成分の一種であるグルタミン酸は日本人によって発見され、甘味・塩味・酸味・苦味に
加えて第5の味覚として広がり、研究が進められました。
素材としては昆布や鰹節のほか、うま味を増加させるために乾燥させて使用する煮干しや干し椎茸もあります。
また、味付けとして使用する塩、砂糖などの調味料、味噌や醤油などの発酵調味料、季節感を出しながら
素材の味を引き出すわさび、からしなどの薬味も和食の特徴です。
さらに、漬物や塩辛、鰹節、納豆など微生物の働きを生かしてうま味を増やした発酵食品もたくさんあり、
これらは保存食としての機能性も兼ね備えています。
◆和食の特徴③ しつらいとおもてなし
手入れされた庭、床の間の掛け軸、季節の生け花、夏は涼しく、冬は暖かくして、もてなす用意をすることを
「しつらい」と言い、特に懐石料理にはしつらいが重要な要素となります。
おもてなしをする亭主と、おもてなしを受ける客人のどちらにも作法が求められ、食事をつくる側は食べる人の
顔を思い浮かべながら用意をし、食べる人はつくってくれた人の気持ちを考えて食事をする。
こういった人と人とを大切にしたいというおもてなしの精神も含めて、和食は世界的に評価されています。
普段、当たり前のようにいただいている和食。この機会にあらためて見直し、一品一品に込められた手間と
おもてなしの心、旬を味わう精神を感じてみてはいかがでしょうか。
以上
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三洋電機連合健康保険組合提供 |
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