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              タイトル     【平成27年8月号】

マダニに注意!!

 

近年、西日本を中心にマダニに咬まれることで起こる感染症『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』の報告が増えてきています。
マダニは春~秋にかけてが活動期のため今の時期は注意が必要です。そこで今回は『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』に関するお話です。

 

◆重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とは

2011年に中国の研究者らによって発表された新しいウイルスによるダニ媒介性感染症のことで、ウイルスを保有しているマダニに咬まれること
で感染します。2013年1月に国内で海外渡航歴のない方が罹患していたことが初めて報告され、2015年5月現在122人の患者が報告されています。
60~80代の方の罹患が多く、死亡例も34人となっています。
                                                (◆)出典:「重症熱性血小板減少症候群」(国立感染症研究所) 

 
 また、これまでに患者が報告されている西日本以外でもSFTSウイルスを保有したマダニが見つかっており、全国的に注意が必要です。
なお、SFTSウイルスに対しての有効なワクチンはありません。
 

○症状

   ウイルスを保有したマダニに咬まれてから1~2週間程で発症します。症状は発熱、消火器症状(食欲低下・吐気・嘔吐・下痢・腹痛)が中心です。
時に頭痛、筋肉痛、リンパ節の腫れ、呼吸困難、歯茎からの出血や下血、意識障害などもみられます。但し、マダニに咬まれたことに気がつかな
い、刺し口が見当たらない場合もありますので、症状が見られる場合は、すぐ受診をしましょう。

 

○診断について

  マダニに咬まれた後に上記症状があり、採血検査によって血小板・白血球減少、血清酵素異常(AST・ALT・LDH・CKの上昇)が確認された
場合にはSFTSの感染を疑います。確定診断はウイルス学的検査を行います。

 

○治療方法

  有効な抗ウイルス薬などの治療方法はありませんので、症状に対しての治療が主体となります。

 

◆もしマダニに咬まれたら・・・

 マダニは固い外皮に覆われた比較的大型のダニで、吸血前は3~8㎜、吸血後は10~20㎜程度と言われています。皮膚にしっかりと口器を突き
刺し、セメント質を出して肌に固着することで数日から長いと10日間以上吸血します。無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚内に残って化
膿したり、マダニの体液を逆流させてしまう恐れがあるため、皮膚科などの医療機関で処置してもらいましょう。

また、咬まれた後は、数週間体調の変化に注意し、症状がある場合は医療機関で診察を受けるようにしましょう。 

 
 

◆SFTSの予防方法

マダニに咬まれないようにすることが最も重要です。マダニは森林や野山、裏庭、畑、あぜ道などに生息していますので、野外活動時には以下の
対策を心がけましょう。

○身を守る服装にする!

 服の上からは咬まれないため、野外では腕・足・首などの露出を少なくしましょう。

 ・首にはタオルを巻くかハイネックのシャツを着用する。

 ・シャツの袖口は軍手や手袋の中に入れる。

 ・シャツの裾はズボンの中に入れる。

 ・ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる。

○野外活動時の上着や作業着は屋内に持ち込まない!

  ガムテープ等を使用し、服についたダニを取り除く方法もお勧めです。

○虫除け剤を利用する!

 日本では衣服に塗布して利用するツツガムシの虫除け剤が市販されています。マダニを完全に防ぐわけではありませんが、一定の効果が確認さ
れていますので、その他の予防方法と組み合わせて対策をしましょう。また、野外活動後は必ず入浴し、マダニに咬まれていないか身体をチェック
するように心がけましょう。特にわきの下、足の付け根、手首、膝裏、髪の毛の中などがポイントになります。 

 今回は重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に焦点を当てましたが、日本にはその他にも、回帰熱、日本紅斑熱、ライム病などマダニによる感染
症があります。マダニに咬まれないよう野外活動時にはまず服装に気を付けましょう。ただし、気温が高い中、身体を衣服で覆うことになりますので、熱中症予防も併せて行うようにしましょう。                                                                 
以上 
 
三洋電機連合健康保険組合提供

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